週報が面倒だという話になると、たいてい書く側の負担が議題になります。ただ、運用を回してみると先に限界が来るのは管理側です。出ていない人に催促し、全員分を読み、こちらから声をかけるべきメンバーを見つけて、ひとこと返す。この一連が、毎週やってきます。
この手間を減らしたくて、グループリーダーだったころに週次報告のシステムを自分で作り、まずは自分のチームだけで試験運用を始めました。使いながら作り替えていくうちに分かったのは、週報の作業が自動化できるものとできないものにきれいに分かれること、そして自動化できない部分こそ週報を続ける価値のある部分だということでした。
週報の作業は4つに分かれる
| 作業 | 手間を負う人 | 自動化の余地 |
|---|---|---|
| 依頼・催促 | 管理者 | ほぼ全部 |
| 記入 | メンバー | 設計で減らす |
| 集約・把握 | 管理者 | 下読みまで |
| 返信・対話 | 管理者 | 自動化しない |
上から順に、自動化しやすいものから並べています。着手するなら、この順に潰していくのが効きます。
催促はどこから生まれるか
私のチームでは長いあいだ、依頼を出していませんでした。「週報は月曜まで」という暗黙のルールがあるだけです。毎週同じ連絡を送るのが手間で、ルールで済ませていました。ところが、何のアクションも起きない運用は忘れられます。月曜の朝に自分から週報を思い出せる人は、そう多くありません。
そして忘れられた分だけ、こちらから催促することになります。これが依頼より面倒でした。全員に同じ文面を送るのと違って、出していない人を確認して、ひとりずつ声をかけることになるからです。毎週の連絡を省いたつもりが、それより手間のかかる作業を毎週やっていた、ということになります。
だから配信の自動化は、送る手間を減らすためというより、催促を発生させないために効きます。決めるのは送る曜日と時刻、どの週について書いてもらうかの3つだけ。ここはチームの働き方で変わるので、設定として持てるかを見ておくといいと思います。
報告依頼メールの自動送信設定。曜日・時刻・報告対象週を決めておけば、以後は手を動かす必要がありません
それでも出さない人は残るので、提出状況が一覧で見えることも要ります。目視で数えているなら、「確認待ち」と「確認済み」が区別できる画面で置き換えられます。
記入の手間は、自動化ではなく設計で減らす
メンバー側の記入は自動化できません。何をやってどう感じたかを知っているのは本人だけで、機械が埋めた週報には情報がゼロだからです。本人の状態を知るために書いてもらっているものを本人以外が生成したら、運用ごと無意味になります。
減らせるのは設計のほうです。効いたのは次の2つでした。
- 記述項目を絞る:作業内容・振り返り・目標の3つで足ります。項目が多い週報は、忙しい週から順に手抜きの対象になります
- 数値は選択式にする:負荷や達成度を文章で書かせると毎回ぶれますが、5段階から選ぶ形なら数秒で終わり、週をまたいで比較できるデータになります
この2つで記入は数分に収まります。項目の組み方は週次報告のはじめかたに、コピペで使える型は週次報告のテンプレート公開に置いています。
読む作業はどこまで任せられるか
管理者が週報を読む目的は、こちらからサポートすべきメンバーを見つけることです。ところが、それは1本の報告を読んでも分かりません。「今週たまたま忙しい」のか「先月から続いている」のかは、数週分を並べて初めて区別がつくからです。
とはいえ、全員分を毎週数週分ずつ読み返す時間はありません。私が実際にやっていたのは、まず最新週に目を通して、気になったメンバーだけ過去数週分を遡るという読み方でした。ここに時間がかかるのに加えて、この読み方には穴があります。最新週が平穏に見える人は遡らないので、じわじわ悪化しているケースを拾い落とします。
この読み比べは、内容の理解が要る割に判断は入らないので、機械に向いています。直近数週分をAIが集約して変化を短くまとめ、さらに自己評価と残業時間から算出したスコアで並べ替えてくれるなら、遡る相手を自分で見当づける必要がなくなります。全員分が毎週同じ基準で遡られたうえで、上から順に確認するだけになる。仕組みの詳細は週次サマリーとはに書きました。
任せられるのはここまでです。スコアが高い理由が挑戦を楽しんでいるからか、消耗しているからかは、データからは分かりません。順番づけは機械にできても、意味づけは元の報告と本人の言葉に当たるしかありません。
返信だけは自動化しない
最後の返信は、効率化の対象から外しています。むしろ、上の3つで浮いた時間をここに注ぎ込むための効率化です。
週報が形骸化する最大の原因は、書いても反応がないことです。定型文の自動返信でごまかすと、読まれていないことが逆にはっきり伝わります。ひとことでいいので、その報告を読んだ人にしか書けない内容を返す。ここだけは手作業で残す価値があります。この話は「週報は意味ない」と感じたらに書きました。
自動化するのは、この欄に向かうまでの手間だけです。何を書くかは人の仕事として残します
ツールを選ぶときに見るところ
週報ツールを比較するなら、上の4分類に対応させると判断しやすくなります。私が見るのは次の4点です。
- 依頼配信を設定できるか:曜日・時刻・対象週を指定できるか。手動のツールは、結局カレンダーに予定を入れることになります
- 入力が自由記述だけになっていないか:数値項目がないと、蓄積しても比較や集計ができません
- 集約が自動か:ボタンを押して生成する方式は、押さなくなった時点で使われなくなります。全員分が毎週勝手に更新されるかどうかが分かれ目です
- 反応がメンバーに届くか:フィードバックが画面の中で完結すると、メンバーは見に来ません
チャットツールや表計算での運用も、依頼配信までは自動化できます。分かれ目は集約で、週報が溜まるほど手作業では追えなくなります。
自チーム用に作ったシステムのその後
冒頭に書いた自チーム用のシステムを、そのまま公開したのが週次報告サービスのfluxweekです。報告依頼メールは設定した曜日・時刻に自動配信され、入力は記述3項目と5段階の自己評価、残業時間だけ。提出されると直近5週分のサマリーが自動生成され、ダッシュボードには0〜100点のアラート指標が並びます。
管理者がやることは、上から順に確認して、気になった人にひとこと返すところまでです。フィードバックはメールでメンバーに通知されます。無料プランでも一通り試せるので、週報の手間をどこから削るか検討中の方は触ってみてください。