fluxweekのダッシュボードには、メンバーごとにアラート指標という0〜100点のスコアが表示されます。数値が高いほど「早めに目を向けたほうがよい状態」を意味していて、チームの誰から声をかけるべきかの優先順位づけに使える指標です。

メンバー別のコンディション評価とアラート指標を一覧できるダッシュボード ダッシュボードのコンディション評価。アラート指標の高い順にメンバーが並ぶ

ただ、こういうスコアは「どう計算されているのか分からない数値」のままだと使いにくいものです。この記事では、アラート指標が何を材料に、どんな考え方で算出されているのかを、設計の裏側まで含めて説明します。

元になるデータは週次報告だけ

アラート指標の入力データは、メンバーが毎週の報告で入力する内容だけです。

  • ストレス度(5段階の自己評価)
  • タスク難易度(5段階の自己評価)
  • 達成度(5段階の自己評価)
  • 残業時間

これらを直近最大5週分さかのぼって分析します。アンケートやサーベイを別途取る必要はなく、週次報告の運用さえ回っていればデータは自動的に蓄積されていきます。「メンバーに追加の負担をかけない」はfluxweek全体の設計方針で、アラート指標もその上に成り立っています。ストレスを毎週の5段階自己評価という形で集めることにした理由は、ストレス可視化がチームを救うに書きました。

スコアの内訳

アラート指標は、次の5つの要素を積み上げて算出します(合計は100点で頭打ち)。

要素 配点 見ているもの
ストレス度(最新週) 最大50点 直近報告のストレス自己評価
残業時間(最新週) 最大25点 直近報告の残業時間(15hで満点)
難易度-達成度ギャップ 最大10点 高難易度なのに達成できていない状態
急変加点(前週比) 最大25点 ストレス・難易度の2段階以上の急上昇
リスク継続加点(過去週) 最大35点 過去週の高ストレス・残業の継続

配点を見ると分かるとおり、最新週のストレス度が最も重い要素です。ただし5段階の評価をそのまま比例配点にはしていません。1→0点、2→5点、3→15点、4→35点、5→50点という非線形のカーブにしています。

これは、自己評価の個人差を吸収するための工夫です。「普段から3を付けがちな人」と「めったに3を付けない人」がいる中で、3以下の領域は控えめに、4と5は一気に重く評価することで、「本人がはっきり高負荷を訴えている状態」にスコアが敏感に反応するようにしています。

残りの要素は、単週のスナップショットだけでは捉えられないものを補完します。急変加点は前週から2段階以上の変化があった場合に加算され、「先週まで2だったストレスが急に4になった」ような異変を拾います。リスク継続加点は過去週のストレス・残業を直近ほど重みが大きい加重平均で評価し、「単週ではぎりぎり閾値未満だけど、ずっと高めが続いている」慢性的な負荷を拾います。

こうして単体では見過ごしがちなシグナルも、複数重なるとスコアが上がる構造になっています。

スコアの見方

スコアは3段階のレベルで色分けされます。

  • 🔴 70点以上:高リスク。早めの声かけを推奨
  • 🟡 40点以上:中リスク。変化に注意
  • 🟢 40点未満:低リスク

ダッシュボードではこのスコアの高い順にメンバーが並ぶので、ケアが必要なメンバーから順に状況を確認できます。

また、スコアにマウスを乗せると算出内訳がツールチップで表示されます。「ストレス度35点+残業18点+継続加点12点」のように、なぜその点数になっているのかを要素ごとに確認できるので、「なんだか分からないがAIが危険と言っている」状態にはなりません。アラート指標はAIではなく明確なルールで計算しているので、根拠は常に説明可能です。

数値と一緒に「注意ポイント」も言葉で示す

スコアだけでは「で、何が起きているのか」までは分かりません。そこでアラート指標と併せて、検出したパターンを注意ポイント ⚠️ として文章で表示します。数週分の報告そのものをAIが文章にまとめる側の仕組みは週次サマリーとはで解説していて、こちらは機械的な判定で拾えるパターンだけを短く出す役割です。たとえばこんな具合です。

  • 「高ストレス継続(直近3週平均4.3)」:直近3週すべてが4以上
  • 「長時間残業が2週(平均12.5h)」:15h以上の残業が複数週
  • 「達成困難なタスク(難易度5、達成度2)」:高難易度と低達成度の複合
  • 「ストレス急上昇(2→4)」:前週から2段階以上の変化
  • 「ストレス上昇傾向」:3週連続の上昇

細かい話ですが、上昇傾向や急変の判定は報告が連続した週で提出されている場合のみ行います。未提出の週を挟んだ2つの報告を比べて「急上昇」と判定してしまうと誤検知になるからです。

逆に良い状態も好調ポイント ✨ として拾います。「ストレス低水準」「残業少なめ」「高い達成度」「ストレス改善傾向」のほか、個人的に気に入っているのが「ストレッチゾーン(難易度4・ストレス2)」です。高難易度のタスクに低ストレスで取り組めている状態は、成長機会をうまく掴めているサインなので、ポジティブに扱っています。

メンバー本人にもフィードバックされる

アラート指標まわりの分析は、管理者だけのものではありません。メンバーが週次報告を提出すると、完了ダイアログに自分の注意ポイント・好調ポイントが表示されます。

報告完了ダイアログに表示される注意ポイントと好調ポイント 報告を出した直後に、自分のコンディションがフィードバックされる

毎週の報告が「出して終わり」ではなく、自分の状態を客観視するセルフモニタリングの機会になることを狙っています。さらに、最大ストレス(5)を付けた場合や、高ストレス(4)に注意ポイントが複数重なった場合には、メンタルサポーターへの相談導線も案内するようにしています。

運用上の注意

最後に、運用面で大事にしてほしいことをひとつ。アラート指標は診断結果ではなく、対話のきっかけです。

スコアが高いメンバーを問い詰める材料にしたり、人事評価に結びつけたりすると、メンバーは正直に自己評価を付けなくなり、指標そのものが機能しなくなります。「最近負荷が高そうだけど、何かできることはある?」。スコアはそう切り出すためのシグナルとして使ってください。

アラート指標は無料プランでも利用できます。週次報告を数週分入力するだけでダッシュボードに表示されるので、ぜひ一度試してみてください。