グループリーダーとしてメンバーを直接見ていたころ、その多くが客先常駐や出向で社外にいました。週報は毎週上がってくるし、月に一度はミーティングもやっている。それでも、「このチームの状態を把握できている」という感覚が、なかなか持てませんでした。

手を抜いているつもりはないのに掴めた気がしない。何が足りないのかを整理すると、「見えない」の中に種類の違う困りごとが混ざっていることが見えてきました。

客先常駐の「見えない」は一つの問題ではない

自社のマネージャーが見えていないものを並べると、少なくとも4つあります。

  • 現場の実態:どんな体制で、どんな進め方で、誰と仕事をしているのか
  • 稼働の実態:残業がどれくらいか。しかもその量を決めているのは常駐先の事情
  • 評価の材料:現場での働きぶりは、常駐先の担当者から又聞きするしかない
  • 気持ちの向き:自社への帰属意識と、この先どうしたいのか

このうち週報で拾えるのは、稼働の実態と、報告の書きぶりから部分的に読める気持ちの向きまで。現場の実態と評価の材料は出てきません。私はしばらく週報だけで満足していて、4つのうち2つしか見ていなかった。掴めた気がしないのは当たり前でした。

残り2つが手つかずになるのは、情報の入り方が違うからです。自社にいるメンバーなら、隣の会話も、レビューに出てくる成果物も、他のメンバーからの評判も、何もしなくても日々の副産物として溜まっていきます。常駐だとこれが発生しません。取りに行かない限り、手元の情報はゼロのままです。

そして取りに行くための接点は、週報、1on1、帰社日、常駐先の担当者との会話くらいしかありません。

限られた接点に役割を振り分ける

接点がこれだけなら、それぞれに何を担当させるか決めておかないと、対面の場が全部近況確認で埋まります。実際、1on1でも帰社日でも「最近どう?」から始めるので、どれも同じ話をして終わっていました。

役割を振れていたのは、このうち3つでした。

  • 週報:稼働と状態の定点観測。毎週、全員分。ここは網羅性が仕事
  • 1on1:週報で見つかった変化の深掘りと、キャリアの話
  • 帰社日・社内イベント:自社との接点そのもの。1on1が毎回あるわけではないので、気になった点の確認もここで

残る常駐先の担当者との会話は、正直なところ手つかずでした。見えていない「現場の実態」と「評価の材料」は、ちょうどこの接点に掛かっています。

3つの中でいちばん効いたのは、週報と対面の役割分担です。普段の週報で状況を網羅的に把握できていれば、対面では気になった点だけを深掘りすればよく、限られた時間を最初から本題に使えます。この使い分けは1on1の質を高める週報活用術に詳しく書いています。

週次報告レビュー画面。メンバーごとの作業内容・振り返り・残業時間・5段階評価を週単位で確認し、フィードバックを返せる 週次報告レビュー画面。週単位で全員分を並べて読み、その場でフィードバックを返せる

そのうえで、常駐だからこそ効くのがフィードバックです。社内なら週報に反応がなくても普段の会話で埋め合わせがききますが、常駐メンバーには自社が報告を読んでいる証拠が返信くらいしかない。無反応が続くと、報告の質が落ちるより先に「自社から放置されている」という感覚が育ちます。

常駐メンバーの状態を測る物差し

社内メンバー相手なら使える手が、常駐だと一つ封じられます。他の人との比較です。同じオフィスで似た仕事をしているなら、AさんとBさんを見比べて個人の問題かプロジェクトの問題かを切り分けられます。常駐だと一人ひとり現場も体制も繁閑の波も違うので、横に並べても何も分かりません。

だから基準は本人の中に置くしかなく、「いつも2の人が3週続けて4を付けている」という平常値からの乖離だけが材料になります。考え方自体はストレス可視化がチームを救うに書きましたが、常駐だとこれ以外に手がないのが違うところです。

監視にしないための線引き

状態を細かく取りに行く運用は、やり方を間違えると監視になります。

ひとつは、自己評価の数値を人事評価に結びつけないこと。現場での働きぶりを自社が見ていない以上、本人からすれば自社に届く情報は週報だけです。それが評価に直結すると感じたら、正直な数字を入れる人はいなくなります。

もうひとつは、常駐先への不満の扱いです。「指示が二転三転する」「聞いていた業務内容と違う」と書かれたとき、自社のマネージャーが何もしなければ次から書かれなくなる。営業や上長に話をつなぐか、少なくとも受け止めたことは返しておきたい。契約の話に手を出せるのは自社の人間だけです。

週報そのものを重くしないのも、同じ線引きの話です。項目の多い週報は、常駐先の業務で手一杯のメンバーにとって真っ先に手抜きの対象になります。書く負担を軽くする話は週次報告のはじめかたに書きました。

最後に少しだけ宣伝

ここまでの考え方を自分のために仕組みにしたのが、週次報告サービスのfluxweekです。客先常駐のメンバーを抱える環境で、週報から状態が読み取れないという課題から作り始めました。

週報には作業内容・振り返り・目標に加えて5段階の自己評価と残業時間が含まれるので、追加のアンケートなしで毎週のデータが溜まります。溜まった報告はAIが直近5週分を集約するほか、ダッシュボードでは0〜100点のアラート指標に変換されるので、限られた接点の中で「今週は誰から声をかけるか」の順番をつけられます。

メンバー別のコンディション評価とアラート指標を一覧できるダッシュボード アラート指標の高い順にメンバーが並ぶ。限られた時間をどこに使うかの判断に使っています

冒頭に書いた「把握できている感覚が持てない」状態からは、だいぶ抜け出せました。とはいえ4つのうち2つ分です。いまは組織全体を見る立場ですが、常駐メンバーの現場の実態が自社に届きにくい構造は変わっていません。残りをどう埋めるかは、まだ考え中です。

無料プランでも一通り試せるので、同じような環境でチームを持っている方は一度触ってみてください。